サピエンティア 47
朝鮮の対日外交戦略
日清戦争前夜1876-1893

四六判 / 312ページ / 上製 / 価格 4,180円 (消費税 380円) 
ISBN978-4-588-60347-1 C3320 [2016年08月 刊行]

内容紹介

19世紀後半の朝鮮外交は、宗主国清の言いなりだったと考えられてきた。だが関税や電線の敷設をめぐる日朝交渉に着目すると、逆に清を利用しようとする朝鮮の主体的で自律した姿勢が浮かび上がる。高宗や金弘集、井上馨、李鴻章、袁世凱から欧米の公使にいたるまで、さまざまな思惑が入り乱れた激動の時代の外交史。気鋭の研究者が日朝清のみならず、欧米の文書まで膨大な史料を用いて考察する。

著訳者プロフィール

李 穂枝(イ スジ)

1974年韓国ソウル生まれ。梨花女子大学政治外交学科修士課程修了。
東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻国際関係論コース博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。
現在東京大学大学院総合文化研究科学術研究員、昭和女子大学、東海大学非常勤講師。
主要論文に「防穀賠償交渉(1893年)における日清韓関係」『中国研究月報』第63巻第6号、2009年、「一八八五年の日朝海底電線条約続約締結交渉について」『朝鮮学報』第232輯、2014年など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 問題提起と本書の課題
 第一節 問題の所在
 第二節 先行研究の検討
 第三節 本書の課題と各章の構成

第一章 新たな日朝関係の開幕
 はじめに
 第一節 釜山草梁倭館の変化
 第二節 釜山海関収税事件の顛末
 第三節 関税交渉の始まり 
 おわりに 

第二章 日朝関税交渉の展開
 はじめに
 第一節 第二次修信使の派遣
 第二節 花房弁理公使のソウルにおける関税交渉
 第三節 第三次修信使の派遣
 おわりに

第三章 朝米修好通商条約の締結
 はじめに
 第一節 対米修交の決定
 第二節 国内の反発と秘密外交
 第三節 朝清間の戦略の相違
 第四節 草案からみる朝清の立ち位置
 第五節 朝米条約の調印
 おわりに

第四章 日朝通商章程における関税交渉
 はじめに
 第一節 朝鮮の情勢変化
 第二節 一八八三年における朝鮮の対応
 第三節 日本の方針と妥結案
 おわりに

第五章 日朝海底電線設置条約続約の締結
 はじめに
 第一節 電線問題の前史
 第二節 電線問題の発端
 第三節 電線条約続約の交渉
 第四節 続約の締結
 おわりに

第六章 防穀賠償交渉における日朝戦略
 はじめに
 第一節 咸鏡道防穀令事件の概略
 第二節 経済問題から政治問題へ
 第三節 最後通告をめぐる対立と妥協
 おわりに

終章 戦略的な事大主義政策の射程

あとがき
参考文献
索引

書評掲載

「出版ニュース」(2016年10月下旬号)にて紹介されました。

「歴史と地理」(2017年2月号/山川志保・評)にて紹介されました。

「東アジア近代史」(2017年6月第21号/荻恵里子氏・評)にて紹介されました。

「日本歴史」(vol.832 2017年9月号/岡本隆司氏・評)にて紹介されました。

「歴史評論」(vol.827 2019年3月号/森万佑子氏・評)に紹介されました。