住む理由を大切にできる社会へ 開発事業者と地域住民との間で、住環境をめぐって紛争が生じたとき、住民たちはどのような方法で問題解決に訴えることができるのか。国立市のマンション問題をはじめ、国分寺市や狛江市、逗子市の事例を調査してきた著者が、地域社会の日常と都市景観の保全活動との接点を重視しつつ、各自治体のまちづくり条例の協議手続きに基づく取り組みを検討する。今後の環境行政や市民運動にとっての基礎資料。
山岸 達矢(ヤマギシ タツヤ)
1981年生まれ。法政大学大学院公共政策研究科博士課程修了。博士(公共政策学)。現在、大正大学地域創生学部地域創生学科助教。専門社会調査士。専門は、公共政策学、環境社会学、地域社会学、住環境保全論。併せて、まちづくりや国際協力のNPO活動にも取り組む。
※上記内容は本書刊行時のものです。まえがき
第1章 都市景観の保全策の諸相
第1節 都市景観の保全策の範囲
1 景観概念の浸透
2 場所の社会的な意味
第2節 都市景観の保全策の留意点
1 都市景観保全の困難
2 保全対象の認識
第3節 公論と都市景観の保全策
1 公論の機能
2 公論形成の要
第2章 都市景観保全に関連する法制度
第1節 日本の都市計画が前提とする土地所有権
第2節 旧都市計画法期
1 旧都市計画以前の民法の役割
2 日本の都市計画のはじまり
3 旧都市計画法時代の都市計画技術
第3節 新都市計画法の制定以降
第4節 都市計画の手続き
1 建築確認制度
2 開発許可制度
第5節 都市計画を修正する機会
1 行政指導
2 都市景観に関連する地区指定型の保全策
3 多様な保全主体への期待
4 地区指定型の保全策の課題
第6節 専門知識の獲得
第7節 都市景観保全の日常的な契機
第3章 都市景観保全の契機
国立市都市景観紛争を事例に
第1節 国立市大学通り景観保全運動の経緯
第2節 法制度の活用
1 国立市都市景観形成条例
2 国立市における地区計画
3 市民的探究活動
第3節 場所の社会的意味の継承と運動の担い手
第4節 国立市大学通りの都市景観保全運動に参加する動機
第5節 近隣の受苦意識
1 大学通り東側住民の会
2 ガーデン国立管理組合
3 中3丁目西側住民の会
第6節 集合的な自主管理努力の蹂躙に伴う受苦意識
第7節 まちを象徴する場所への関心
1 問題発覚直前の国立市大学通り景観保全運動
2 住環境保全運動経験者
第8節 主体性を発揮させた要因
1 保全主体を創出するネットワーク
2 合意するためのコミュニケーション
小括
第4章 まちづくり条例による都市景観保全
第1節 まちづくり条例の変遷
第2節 まちづくり条例に関する法的根拠
第3節 市民参加の機会
1 地区指定型
2 紛争調整手続き
3 協議手続き
4 都市景観保全の日常的な契機と市民の関与
第4節 協議手続き
1 協議手続きの対象基準
2 協議手続きにおける自己統治の論理形成
第5節 罰則規定
小括
第5章 市民と専門家による協議手続き
国分寺市まちづくり条例の事例より
第1節 国分寺市まちづくり条例の特徴
1 まちづくり条例制定の背景
2 まちづくり条例の構成
3 まちづくり条例による協議手続きの位置づけ
第2節 まちづくり条例に基づく協議手続きの対象事例
1 分析対象の事例
2 まちづくり市民会議の審議事項
3 争点となった事柄
第3節 まちづくり市民会議の答申に基づく指導
1 3つの指導内容
2 事業者の反応
第4節 再考要請制度
1 合意に至らなかった事例
2 合意に至った事例
第5節 大規模土地取引行為の届出制度
1 早期の市民の声と専門知識の反映
2 専門的知見の相対化
3 地区計画の変更
4 地区計画変更を促進した要素
小括
第6章 専門家主導による協議手続き
狛江市まちづくり条例の事例より
第1節 狛江市のまちづくり条例の構成
第2節 各事例の論点
1 各事例における建築計画の修正点
2 調整会での論点
第3節 調整会におけるまちづくり委員会の役割
1 建築計画の説明責任の拡大
2 妥結に向けた議論の場の確立
3 大幅な計画修正に向けた交渉
4 交渉から裁定の局面への移行
第4節 地区まちづくり計画への移行
小括
第7章 市長と議会による承認制度
逗子市まちづくり条例の事例より
第1節 逗子市まちづくり条例
1 条例の制定意図
2 条例の協議手続き
第2節 分析対象の事例
1 土地利用と建築計画について協議する機会
2 各事例の争点
第3節 協議手続きが建築計画へ与える影響
1 事業計画が修正された事例
2 事業計画が修正されなかった事例
小括
終章
第1節 近隣住民への周知
第2節 専門知識と協議時期
1 専門知識の活用と協議手続きの低い実効性
2 専門知識の活用と協議手続きの高い実効性
第3節 協議における都市景観の意味
第4節 協議結果の蓄積と反映
第5節 保全意識の高揚を捉えた制度
──届出制度と地区指定型の保全策の接合
第6節 自己統治に基づく意思決定手続きの構築に向けて
──首長と議会の承認制度
引用文献
巻末資料
あとがき
第1章 都市景観の保全策の諸相
第1節 都市景観の保全策の範囲
1 景観概念の浸透
2 場所の社会的な意味
第2節 都市景観の保全策の留意点
1 都市景観保全の困難
2 保全対象の認識
第3節 公論と都市景観の保全策
1 公論の機能
2 公論形成の要
第2章 都市景観保全に関連する法制度
第1節 日本の都市計画が前提とする土地所有権
第2節 旧都市計画法期
1 旧都市計画以前の民法の役割
2 日本の都市計画のはじまり
3 旧都市計画法時代の都市計画技術
第3節 新都市計画法の制定以降
第4節 都市計画の手続き
1 建築確認制度
2 開発許可制度
第5節 都市計画を修正する機会
1 行政指導
2 都市景観に関連する地区指定型の保全策
3 多様な保全主体への期待
4 地区指定型の保全策の課題
第6節 専門知識の獲得
第7節 都市景観保全の日常的な契機
第3章 都市景観保全の契機
国立市都市景観紛争を事例に
第1節 国立市大学通り景観保全運動の経緯
第2節 法制度の活用
1 国立市都市景観形成条例
2 国立市における地区計画
3 市民的探究活動
第3節 場所の社会的意味の継承と運動の担い手
第4節 国立市大学通りの都市景観保全運動に参加する動機
第5節 近隣の受苦意識
1 大学通り東側住民の会
2 ガーデン国立管理組合
3 中3丁目西側住民の会
第6節 集合的な自主管理努力の蹂躙に伴う受苦意識
第7節 まちを象徴する場所への関心
1 問題発覚直前の国立市大学通り景観保全運動
2 住環境保全運動経験者
第8節 主体性を発揮させた要因
1 保全主体を創出するネットワーク
2 合意するためのコミュニケーション
小括
第4章 まちづくり条例による都市景観保全
第1節 まちづくり条例の変遷
第2節 まちづくり条例に関する法的根拠
第3節 市民参加の機会
1 地区指定型
2 紛争調整手続き
3 協議手続き
4 都市景観保全の日常的な契機と市民の関与
第4節 協議手続き
1 協議手続きの対象基準
2 協議手続きにおける自己統治の論理形成
第5節 罰則規定
小括
第5章 市民と専門家による協議手続き
国分寺市まちづくり条例の事例より
第1節 国分寺市まちづくり条例の特徴
1 まちづくり条例制定の背景
2 まちづくり条例の構成
3 まちづくり条例による協議手続きの位置づけ
第2節 まちづくり条例に基づく協議手続きの対象事例
1 分析対象の事例
2 まちづくり市民会議の審議事項
3 争点となった事柄
第3節 まちづくり市民会議の答申に基づく指導
1 3つの指導内容
2 事業者の反応
第4節 再考要請制度
1 合意に至らなかった事例
2 合意に至った事例
第5節 大規模土地取引行為の届出制度
1 早期の市民の声と専門知識の反映
2 専門的知見の相対化
3 地区計画の変更
4 地区計画変更を促進した要素
小括
第6章 専門家主導による協議手続き
狛江市まちづくり条例の事例より
第1節 狛江市のまちづくり条例の構成
第2節 各事例の論点
1 各事例における建築計画の修正点
2 調整会での論点
第3節 調整会におけるまちづくり委員会の役割
1 建築計画の説明責任の拡大
2 妥結に向けた議論の場の確立
3 大幅な計画修正に向けた交渉
4 交渉から裁定の局面への移行
第4節 地区まちづくり計画への移行
小括
第7章 市長と議会による承認制度
逗子市まちづくり条例の事例より
第1節 逗子市まちづくり条例
1 条例の制定意図
2 条例の協議手続き
第2節 分析対象の事例
1 土地利用と建築計画について協議する機会
2 各事例の争点
第3節 協議手続きが建築計画へ与える影響
1 事業計画が修正された事例
2 事業計画が修正されなかった事例
小括
終章
第1節 近隣住民への周知
第2節 専門知識と協議時期
1 専門知識の活用と協議手続きの低い実効性
2 専門知識の活用と協議手続きの高い実効性
第3節 協議における都市景観の意味
第4節 協議結果の蓄積と反映
第5節 保全意識の高揚を捉えた制度
──届出制度と地区指定型の保全策の接合
第6節 自己統治に基づく意思決定手続きの構築に向けて
──首長と議会の承認制度
引用文献
巻末資料
あとがき
書評掲載
「地方自治 職員研修」(2017年2月号)にて紹介されました。