叢書・ウニベルシタス 1104
新しい思考
ISBN978-4-588-01104-7 C1310 [2019年10月 刊行]
フランツ・ローゼンツヴァイク(ローゼンツヴァイク フランツ)
(Franz Rosenzweig)
1886年、ドイツに生まれる。ゲッティンゲン大学、ミュンヘン大学にて医学を、フライブルク大学にて歴史学・哲学を学び、フリードリヒ・マイネッケの指導のもと、ヘーゲルに関する博士論文を提出する(1921年、『ヘーゲルと国家』として刊行)。第一次世界大戦末期の1918年、バルカン戦線の塹壕のなかで霊感を受け、主著『救済の星』を執筆(1921年刊行)。1920年、ユダヤ人のための成人教育機関「自由ユダヤ学舎」を開校。1921年、筋萎縮側索硬化症を発症。マルティン・ブーバーとともに旧約聖書の新しいドイツ語訳に着手するが、1929年逝去。日本語訳に『救済の星』(村岡晋一他訳、みすず書房、2009年)、『健康な悟性と病的な悟性』(村岡晋一訳、作品社、2011年)、『ヘーゲルと国家』(村岡晋一他訳、作品社、2015年)がある。
村岡 晋一(ムラオカ シンイチ)
1952年、熊本県生まれ。中央大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科博士後期課程中退。現在、中央大学理工学部教授。ドイツ・ユダヤ思想、ドイツ観念論専攻。著書に『対話の哲学』(講談社選書メチエ、2008年)、『ドイツ観念論』(講談社選書メチエ、2012年)、訳書にローゼンツヴァイクの諸著作のほか、ジェイ『アドルノ』(共訳、岩波書店、1987年)、カッシーラー『シンボル形式の哲学』(第3巻、共訳、岩波書店、1994年)、同『認識問題』(全5冊、共訳、みすず書房、1996-2013年)、ヘーゲル『ヘーゲル初期論文集成』(共訳、作品社、2017年)などがある。
田中 直美(タナカ ナオミ)
お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科博士後期課程修了。現在、武蔵丘短期大学講師。教育哲学、教育思想専攻。論文に「対話的思想における人間形成論的研究」(博士論文、2016年)、「F・ローゼンツヴァイクにおけるユダヤ性(Judentum)の〈復元〉と翻訳の課題について」(『京都ユダヤ思想』第7号、2016年)、「対話的教育実践による生徒指導と道徳教育の交差」(『人間発達研究』第32号、2017年)などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。1 新しい思考──『救済の星』についてのいくつかの補足的な覚書
2 『救済の星』の「原細胞」
第II部 自由ユダヤ学舎と教育について
3 ユダヤ的思考への手引き
4 信仰と知識
5 神についての学
6 人間についての学
7 世界についての学
8 自由ユダヤ学舎──『学報』のための序文
9 教育ときりのなさ(『コヘレトの言葉』第一二章一二節)──現在のユダヤ人教育問題、とくに民衆大学問題についての願い
10 新しい学び
11 国家におけるユダヤ人
第III部 翻訳について
12 新ヘブライ語?──スピノザ『エチカ』の翻訳にさいして
13 文字と言葉──新たな聖書翻訳のために
14 『イェフダ・ハレヴィ』のあとがき
15 聖書とルター
16 「永遠なる者」──メンデルスゾーンと神の名前
第IV部 人について
17 ヘルマン・コーヘンの遺作
18 護教論的な思考──ブロートとベックについての所見
19 マルティン・ブーバーの博士論文のある箇所について
20 入れ替えられた前線
編訳者あとがき
人名索引