叢書・ウニベルシタス 1136
病い、内なる破局

四六判 / 182ページ / 上製 / 価格 3,080円 (消費税 280円) 
ISBN978-4-588-01136-8 C1310 [2021年11月 刊行]

内容紹介

自分自身が失われてしまったという感覚をもつ人の苦しみを前にして、いかなる言葉が、いかなる身ぶりが可能だろうか。病いが人を深く揺さぶる時、この同一性の傷を治療することは可能だろうか。患者が自己の風合いを取り戻すことを支援する協働的な営みとしての「治療」の可能性と、「回復」への希望を現実のものにしようとする実践から、ケアの哲学に新たな地平を切り開く。

著訳者プロフィール

クレール・マラン(マラン クレール)

(Claire Marin)
1974年、パリに生まれる。2003年にパリ第四大学(ソルボンヌ)で哲学の博士号を取得。「現代フランス哲学研究国際センター」のメンバーを務めるとともに、セルジー=ポントワーズのリセ、アルフレッド・カストレ校のグランゼコール準備クラスで教鞭をとる哲学者である。自らが多発性の関節炎をともなう自己免疫疾患に苦しめられ、厳しい治療生活を送ってきた患者(当事者)でもあり、その経験を起点として、「病い」と「医療」に関する哲学的な省察へと歩みを進め、精力的な著作活動を続けている。著書に、『熱のない人間――治癒せざるものの治療のために』(鈴木智之訳、法政大学出版局、2016年)、自らの経験を小説として綴った作品『私の外で――自己免疫疾患を生きる』(鈴木智之訳、ゆみる出版、2015年)などがある。

鈴木 智之(スズキ トモユキ)

1962年生まれ。法政大学社会学部教授。著書に、『村上春樹と物語の条件――『ノルウェイの森』から『ねじまき鳥クロニクル』へ』(青弓社、2009年)、『眼の奥に突き立てられた言葉の銛――目取真俊の〈文学〉と沖縄戦の記憶』(晶文社、2013年)、『死者の土地における文学――大城貞俊と沖縄の記憶』(めるくまーる、2016年)、『ケアとサポートの社会学』(共編、法政大学出版局、2007年)、『ケアのリアリティ――境界を問いなおす』(共編著、法政大学出版局、2012年)。訳書に、A・W・フランク『傷ついた物語の語り手――身体・病い・倫理』(ゆみる出版、2002年)、B・ライール『複数的人間――行為のさまざまな原動力』(法政大学出版局、2013年)、G・サピロ『文学社会学とはなにか』(共訳、世界思想社、2017年)、C・マラブー『偶発事の存在論――破壊的可塑性についての試論』(法政大学出版局、2020年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

自分が自分でなくなることの傷

1 病いと同一性

2 自分を見失う苦しみ

3 見知らぬ身体

4 他人の顔

5 存在論的動揺

6 新しい自己の習慣としての治療

 謝辞
 訳者あとがき
 参考文献

関連書籍

『熱のない人間』
クレール・マラン:著
『偶発事の存在論』
カトリーヌ・マラブー:著
『皮膚』
クラウディア・ベンティーン:著
『リクール読本』
鹿島 徹:編
『スティル・ライヴズ』
ジョナサン・コール:著
『ケアのリアリティ』
三井 さよ:編著