学識と技倆のある手術師か、はたまた災厄をもたらす放浪のいかさま師か? 古代メソポタミア文明から近代ヨーロッパ社会まで、患者の命を預かり、人びとを苦痛から救い出す外科医という職業は、魔術と宗教的迷信に取り巻かれ、曖昧で謎多き存在であった。数千年にわたる職人的開業医たちの興味深い生態を、科学的医学の発展史のなかに位置づけて描く医療文化史。図版多数。
デトレフ・リュスター(リュスター デトレフ)
(Detlef Rüster)
1940年代生まれ。ベルリンのフンボルト大学で医学を修めたのち、1967年からベルリンに近いケーニヒス・ヴスターハウゼンで外科医をつとめる。かたわら執筆に従事、本書のほか『昔の外科学』(1984)、『医学のベルリン』(1990)、『遠い昔の王』(2008)等を著した。
石丸 昭二(イシマル ショウジ)
1940年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。ドイツ文学専攻。お茶の水女子大学名誉教授。元獨協大学特任教授。主な著訳書に『アール・ヌーヴォーのグラフィック』(岩崎美術社)、『ドイツ文学における古典と現代』(共著、第三書房)、G.ショーレム『ユダヤ神秘主義』(共訳)、G. R.ホッケ『ヨーロッパの日記』全二巻(共訳)、A.ノーシー『カフカ家の人々』、ハイデン=リンシュ『ヨーロッパのサロン』、G.ショーレム『サバタイ・ツヴィ伝』全二巻、ミュラー編訳『ゾーハル』(以上、法政大学出版局刊)、E.ブロッホ『希望の原理』全三巻(共訳)、G.ロスト『司書』、U.ハイゼ『亭主』(以上白水社刊)、『独和辞典』(共編著)、『和独辞典』(共編著)(以上郁文堂刊)ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。がたがた鳴る窓ガラス 外科学と医学のしっくりしない関係
バビロンの外科医
文字に語らせる者
ヒポクラテスと外科学 対立の調和
ダモクレスの剣の下の外科学
時代のはざまで
外科の崩壊
床屋、もぐり職人と外科医 ロストックからロワまで
外科術の山師
王と首斬り役人と外科医 外科学の効用
最終章 ひとつの職業が押しのけられる
訳者あとがき
文献一覧
注
人名索引
バビロンの外科医
文字に語らせる者
ヒポクラテスと外科学 対立の調和
ダモクレスの剣の下の外科学
時代のはざまで
外科の崩壊
床屋、もぐり職人と外科医 ロストックからロワまで
外科術の山師
王と首斬り役人と外科医 外科学の効用
最終章 ひとつの職業が押しのけられる
訳者あとがき
文献一覧
注
人名索引