ウィル・キムリッカ(キムリッカ ウィル)
(Will Kymlicka)
カナダの政治哲学者。クイーンズ大学で哲学と政治学を学び、1987年、G. A. コーエンの指導の下、哲学博士号を取得。1998年からは母校であるクイーンズ大学哲学学部で教鞭をとるとともに、ハンガリーの中央ヨーロッパ大学のナショナリズム研究プログラムの客員教授も務める。英米圏を代表する政治理論家であり、日本でも『多文化時代の市民権――マイノリティの権利と自由主義』(晃洋書房、1998年)、『現代政治理論』(日本経済評論社、2002年)、『新版 現代政治理論』(日本経済評論社、2005年)、『土着語の政治――ナショナリズム・多文化主義、シティズンシップ』(法政大学出版局、2012年)、『人と動物の政治共同体――「動物の権利」の政治理論』(尚学社、2016年)が翻訳されている。
稲田 恭明(イナダ ヤスアキ)
東京大学経済学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。東京大学大学院法学政治学研究科・助手。法学部学習相談員。法哲学専攻。
主な業績:「国連先住民族権利宣言の意義と課題――「先住民族」の定義問題をめぐって」『法哲学年報』2012年、「多文化社会の立法システム」西原博史編『立法学のフロンティア第2巻 立法システムの再構築』ナカニシヤ出版、2014年ほか。
施 光恒(セ テルヒサ)
1971年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。九州大学大学院比較社会文化研究院・准教授(政治理論・政治哲学・人権論)。
主な業績:『リベラリズムの再生――可謬主義による政治理論』慶應義塾大学出版会、2003年、『ナショナリズムの政治学――規範理論への誘い』(共編著)ナカニシヤ出版、2009年、『英語化は愚民化――日本の国力は地に落ちる』集英社新書、2015年、『本当に日本人は流されやすいのか』角川新書、2018年ほか。
第I部 国家・マイノリティ関係の(再)国際化
第1章 序論
第2章 変化する国際的文脈:戦後の普遍的人権から冷戦後のマイノリティの権利へ
戦後の解決策/マイノリティの権利の再生/レトリックから行動へ/変化を説明する
第II部 リベラル多文化主義を理解する
第3章 リベラル多文化主義の諸形態
様々なリベラル多文化主義/リベラル多文化主義の主要な三つの特徴
第4章 リベラル多文化主義の起源:源泉と前提条件
人権革命による鼓舞/制約としての人権革命/多文化主義とリベラル化/政治を取り戻す/人権革命における諸原理と地政学/地政学的安全保障と種族関係の「脱安全保障問題化」/多文化主義からの後退?/社会運動多文化主義から法人多文化主義へ/結論
第5章 リベラル多文化主義の実践を評価する
下位国家民族集団/先住民族/移民/結論
第III部 リベラル多文化主義の国際的普及における逆説
第6章 欧州の実験
「成功事例」戦略/リベラル多文化主義の失われた源泉と前提条件/「成功事例」から「規範」と「基準」へ/マイノリティの権利規範を策定する欧州/「少数民族」の権利を定式化する/「規範」と「基準」から紛争の予防・解決へ/効果的参加の権利/結論
第7章 グローバルな挑戦
成功事例の限界/起源と前提条件を評価する/成功事例から規範と基準へ/規範・基準から事例別紛争解決へ/結論
第8章 結論:不確かな未来
訳者あとがき
参考文献
索引
書評掲載
「出版ニュース」(2019年2月下旬号)に紹介されました。
「図書新聞」(2019年3月9日号/安達智史氏・評)に紹介されました。
「ダイヤモンド・オンライン」(2019年3月3日付/吉田徹氏・評)に紹介されました。
「週刊金曜日」(1232号、2019年5月17日発行/小林和子氏・評)に紹介されました。
「社会理論研究」(20号、2019年12月25日発行/石山文彦氏・評)に紹介されました。