看護制度と政策

A5判 / 366ページ / 上製 / 価格 5,830円 (消費税 530円) 
ISBN978-4-588-67518-8 C3036 [2015年03月 刊行]

内容紹介

超高齢社会を迎える日本の看護制度がいま直面している問題とは何か。現場の看護師がより専門性・自律性をもって働ける環境を創るにはどんな制度変更が必要か。厚生労働省の医政局看護課長を務めた著者が、明治期の医制創設から戦後改革をへて現在にいたる看護制度の歴史的変遷を辿り、多様なアクターによる政治的決定過程を具体的に検証しつつ、今後の公共医療のあり方を問う提言の書。

著訳者プロフィール

野村 陽子(ノムラ ヨウコ)

神奈川県出身。聖路加看護大学衛生看護学部卒業。博士(政治学、法政大学大学院)。国立病院医療センター、新宿区保健所、(財)東京都神経科学総合研究所を経て1984年厚生省入省。健康政策局計画課、看護課、保険局医療課、保健医療局地域保健・健康増進栄養課保健指導室長、医政局看護課長。2014年から京都橘大学看護学部教授。主な著書:『保健師助産師看護師法60年史』(共著、日本看護協会出版会)、『最新保健学講座7 保健医療行政論』(編共著、メヂカルフレンド社)、『看護管理学習テキスト7 看護制度・政策論』(共著、日本看護協会出版会)、論文:「看護の政策過程─准看護師問題を中心に」(『法学志林』第111巻第4号)。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章
1 本書の位置づけ
2 看護制度、看護政策とは
3 看護制度の変容
4 本書の構成

第1章 看護制度の歴史的変遷
第1節 保健師助産師看護師法の創設前期
1 産婆規則の制定と業務の規定
2 看護婦規則の制定と業務の規定
3 保健婦規則の制定と業務の規定

第2節 保助看法の制定と1951年改正
1 保助看法の制定
2 1951年の保助看法改正
3 保助看法における業務の規定

第3節 保助看法制定および1951年改正における政策過程
1 政治、行政、団体の動き
2 保助看法制定の政策決定過程
3 1951年改正の政策決定過程

第4節 保助看法改正以降の看護制度の変遷
1 看護制度の検討期(1952年〜1988年)
2 看護制度の新たな展開期(1989年以降)

第2章 医療資格制度の構造
第1節 看護制度の構造
1 看護職の資格制度
2 看護職の量を確保する制度
3 看護サービスに関する制度

第2節 資格制度の特性
1 プロフェッション研究と資格制度
2 国家と資格制度の関係

第3節 看護資格制度の国際比較
1 看護師資格制度に関する国際比較
2 専門看護師資格制度に関する国際比較
3 日本の看護資格制度の特徴と新たな制度化の動き

第4節 医療資格制度の変遷と看護制度
1 医師、薬剤師の資格制度創設
2 新たな医療関係職種の誕生
3 医療資格制度体系と看護制度の課題
4 福祉資格制度の創設

第3章 近年の准看護師制度の政策過程
第1節 准看護師問題の概観
1 准看護師制度の概要
2 准看護師問題の所在
3 准看護師制度の国際比較

第2節 准看護師制度の検討
1 国会を中心とした動き
2 厚生省の検討会を中心とした動き

第3節 1994年以降の准看護師問題検討過程
1 准看護師問題を取り上げた社会的背景
2 准看護師問題の検討経過

第4節 政治、行政、団体の関係と政策展開
1 政治、行政、団体の影響力関係
2 政策コミュニティとその機能
3 政策段階における課題

第4章 訪問看護制度の政策過程
第1節 訪問看護制度の概観
1 訪問看護制度の概要
2 制度上の問題点

第2節 訪問看護制度の政策決定過程
1 制度創設以前の訪問看護活動
2 訪問看護制度創設の政策過程

第3節 規制緩和による制度の変更
1 民間企業の参入
2 医師の指示書等の規制緩和

第4節 政治、行政、団体の関係と政策展開
1 政治、行政、団体の影響力関係
2 政策コミュニティとその機能
3 訪問看護制度の政策展開

第5章 看護政策の特徴と推進の課題
第1節 看護の政策過程の特徴
1 アクターの影響力関係
2 政策段階における比較
3 看護政策の特徴

第2節 看護政策推進の課題
1 政策の規模
2 政策案の熟成

第6章 看護制度の課題と今後の方向性
第1節 看護制度の課題
1 業務法と現代医療の乖離
2 看護師資格の二重構造
3 看護師の量的確保
4 専門性・自律性の課題

第2節 看護制度変革の方向性
1 業務法見直しの方向性
2 准看護師制度に関する論点整理
3 チーム医療における専門職化の推進

終章 制度変革のために
1 将来の医療提供体制と看護制度
2 看護政策の推進方策
3 看護管理と看護政策
4 政策推進の基盤整備

参考文献
あとがき
索引

書評掲載

日本看護協会機関誌「看護」(2015年6月号)に紹介されました。