叢書・ウニベルシタス 1022
イメージとしての女性
文化史および文学史における「女性的なるもの」の呈示形式
ISBN978-4-588-01022-4 C3398 [2014年12月 刊行]
ジルヴィア・ボーヴェンシェン(ボーヴェンシェン,S.)
(Silvia Bovenschen)
1946年生まれ。フランクフルト大学で博士号を取得。同大学で20年にわたり教鞭をとったのち、職を辞し作家、エッセイストとして活躍中。ロスヴィータ賞、ヨハン-ハインリヒ-メルク賞、エルンスト-ロベルト-クルチウス評論賞、シラー賞受賞。ベルリン芸術アカデミー、ドイツ言語・文学アカデミー会員。主な著書にSchlimmer machen, schlimmer lachen. Aufsatze und Streitschriften (1988), Über-Empfindlichkeit. Spielformen der Idiosynkrasie (2000), Älter werden. Notizen (2006), Verschwunden (2006), Wer weiß was? Eine deutliche Mordgeschichte (2009), Wie geht es Georg Laub? (2011), Nur Mut, Roman (2013)、共編著にDie Listen der Mode (1986), Rituale des Alltags (2002), Von der Freundschaft. Ein Lesebuch (2009) などがある。
渡邉 洋子(ワタナベ ヒロコ)
1941年生まれ。大阪大学文学部博士課程単位取得退学、元大阪学院大学経済学部教授。文学博士(大阪大学)。著書に『ドイツ「書簡文化」と女性──ゾフィー・フォン・ラロッシュからベッティーナへ』(同学社、2006年)、翻訳(共訳)にダグマル・グレンツ『「少女文学」──18世紀の道徳的・教訓的読み物から19世紀における「小娘文学」の成立まで』(同学社、2004年)、ジークリット・ダム『フリードリヒ・シラーの生涯』(同学社、2009年)などがある。
田邊 玲子(タナベ レイコ)
1955年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語ドイツ文学専攻)中途退学、ミュンヒェン大学、フランクフルト大学に留学。名古屋大学総合言語センター助教授を経て、現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は、ドイツ文学、ジェンダー論。Dr. phil.(フランクフルト大学)。著書にSchöne Körper. Zur Erotik des Blicks in der deutschen Literatur Mitte des 18. Jahrhunderts (Königstein/Taunus: Ulrike Helmer Verlag, 2003)、論文に「一八世紀ドイツにおける美・欲望・ジェンダーをめぐる言説」(姫岡とし子・川越修編『ドイツ近現代ジェンダー史入門』青木書店、2009年、所収)、翻訳にレッシング作『エミーリア・ガロッティ/ミス・サラ・サンプソン』(岩波文庫、2006年)、クラウディア・ベンティーン『皮膚』(法政大学出版局、2014年)などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。I 日陰の存在の豊富なイメージ──「女性的なるもの」の文化的表象の構造について
一 限定主義
二 補完理論
三 演出された女性性の演出──典型としてのヴェデキントの「ルル」
四 〈平等と差異〉というテーマについての短いコメント
II 道徳的理性と自然な徳性──「女性的なるもの」の文化的表象の歴史について
A 文化におけるステレオタイプ──方法論上の問題
B 〈女性の学識〉と学識ある女性たち
一 アンナ・マリア・シュールマンの生涯──ある文化タイプの範例
二 学識/道徳的教訓/女性像の欺瞞
三 増殖するイメージと合理主義的教養プログラム
四 女性に発言許可を与えるための詩学上の前提条件
五 詩の規範と女性の言説のプログラム
六 学識ある女性と家
C 〈女性的感傷〉──感傷的女性というイメージと〈感傷的〉女性作家たち
一 アンナ・ルイーザ・カルシュ、チューリヒャウのサッフォー ──ある文化類型のパラダイム
二 文化の女性化と、プログラムされた女性の無能──女性の学識にたいする感傷性にもとづく批判
三 ソフィーあるいは不平等を目指す教育論
四 〈静かで素朴〉──感傷主義による、「女性的なるもの」の定義
五 シュテルンハイム嬢vsラロッシュ夫人
六 書簡体小説──トロイアの木馬。ジャンル上の制約に対する批判と、女性の〈自然な〉無制約
七 〈美しき悟性〉の無力と美的判断能力
八 詩学における、詩的無能の根拠づけ
結び
註記
訳註
訳者あとがき
文献一覧
人名索引