サピエンティア 65
民主主義に未来はあるのか?

四六判 / 312ページ / 上製 / 価格 3,520円 (消費税 320円) 
ISBN978-4-588-60365-5 C3031 [2022年07月 刊行]

内容紹介

アメリカやヨーロッパをはじめ世界各地にポピュリズムが拡がり、中国やロシアでは権威主義体制が強まる現在、民主主義があらためて問われている。自由民主主義ははたして最適な制度なのか、そして持続可能なのだろうか。政治理論、政治思想史、比較政治、国際政治史、社会学の気鋭の研究者10名が、それぞれの視点から民主主義の未来について構想する。

著訳者プロフィール

山崎 望(ヤマザキ ノゾム)

序論・第9章
駒澤大学法学部教授(現代政治理論)
主な業績:『来るべきデモクラシー――暴力と排除に抗して』、有信堂、2012年、『ポスト代表制の政治学――デモクラシーの危機に抗して』(共編著)ナカニシヤ出版、2015年、『奇妙なナショナリズムの時代――排外主義に抗して』(共編著)、『時政学への挑戦――政治研究の時間論的転回』(共編著)ミネルヴァ書房、2021年、「コロナ危機は自由民主主義を変えたのか?」宮本太郎編『自助社会を終わらせる』岩波書店、2022年、「21世紀に自由民主主義は生き残れるか――正統性の移行と再配置される暴力」日本国際政治学会編『国際政治』194号、2018年など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序論 民主主義の危機をめぐる言説圏の系譜学【山崎 望】

第I部 自由民主主義の実像

第1章 エリート主義的民主主義論の成立過程について【早川 誠】

第2章 戦後日本の政治学と「二つの民主主義」
―一九六〇年代前半を中心に【森 政稔】

第II部 自由民主主義の危機と代替構想(1)――形骸化をめぐって

第3章 ポストナショナルな経済危機と民主主義 ―ヨーロッパ政治の縮減・再生・拡散【小川有美】

第4章 グローバル・ガバナンスにおける非国家主体の正統性と政治的CSR【松尾隆佑】

第5章 「民主主義の危機」を超える民主主義の未来 ―私たちのあいだで紡ぎだす正当化実践の価値と制度【内田 智】

第III部 自由民主主義の危機と代替構想(2)――対立をめぐって

第6章 現代ドイツの右翼ポピュリズム ―その歴史と世界観【板橋拓己】

第7章 代表制民主主義の危機と戦闘的民主主義【大竹弘二】

第8章 アゴニズムを制度化する
―熟議/闘技論争の第二ラウンドのために【山本 圭】

第IV部 自由民主主義と代表をめぐるアポリア――政治/社会運動をめぐって

第9章 自由民主主義とBLM/右派運動
―ベンヤミンの暴力論の視座から【山崎 望】

第10章 現代のアクティヴィズムにおいて「代表」は機能しているのか
―「代表」しているのは誰なのか、あるいは「代表」されないのは誰なのか【富永京子】

あとがき

執筆者略歴(執筆順)

早川 誠(はやかわ まこと)第1章
立正大学法学部教授(現代政治理論)
主な業績:『代表制という思想』風行社、2014年、「国民投票は直接民主制か?」『現代思想』第50巻第3号、2022年ほか。

森 政稔(もり まさとし)第2章
東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授(社会思想史)
主な業績:『変貌する民主主義』ちくま新書、2008年、『戦後「社会科学」の思想――丸山眞男から新保守主義まで』NHKブックス、2020年ほか。

小川有美(おがわ ありよし)第3章
立教大学法学部(ヨーロッパ政治論)
主な業績:『ポスト代表制の比較政治――熟議と参加のデモクラシー』(編著)早稲田大学出版部、2007年、『ヨーロッパ・デモクラシー――危機と転換』(共編著)岩波書店、2018年ほか。

松尾隆佑(まつお りゅうすけ)第4章
宮崎大学テニュアトラック推進室講師(政治学、政治理論)
主な業績:『ポスト政治の政治理論――ステークホルダー・デモクラシーを編む』法政大学出版局、2019年、『3・11の政治理論――原発避難者支援と汚染廃棄物処理をめぐって』明石書店、2022年ほか。

内田 智(うちだ さとし)第5章
早稲田大学政治経済学術院招聘特別研究員、青山学院大学ほか非常勤講師(現代政治理論、国際政治思想)
主な業績:「現代デモクラシー論における熟議の認知的価値――政治における『理由づけ』の機能とその意義をめぐる検討」『政治思想研究』第19号、風行社、2019年、「もうひとつのグローバルな『批判的=政治的』正義論の可能性――分配的正義論と政治的リアリズムを超えて」『思想』第1155号、岩波書店、2020年ほか。

板橋拓己(いたばし たくみ)第6章
東京大学法学部教授(国際政治史)
主な業績:『中欧の模索』創文社、2010年、『アデナウアー』中公新書、2014年、『黒いヨーロッパ』吉田書店、2016年ほか。

大竹弘二(おおたけ こうじ)第7章
南山大学国際教養学部准教授(近現代ドイツ政治思想)
主な業績:『正戦と内戦――カール・シュミットの国際秩序思想』以文社、2009年、『公開性の根源――秘密政治の系譜学』太田出版、2018年ほか。

山本 圭(やまもと けい)第8章
立命館大学法学部准教授(現代政治理論、民主主義論)
主な業績:『不審者のデモクラシー――ラクラウの政治思想』岩波書店、2016年、『アンタゴニズムス――ポピュリズム〈以後〉の民主主義』共和国、2020年、『現代民主主義――指導者論から熟議、ポピュリズムまで』中公新書、2021年ほか。

富永京子(とみなが きょうこ)第10章
立命館大学産業社会学部准教授(社会運動論)
主な業績:『社会運動のサブカルチャー化――G8サミット抗議行動の経験分析』、せりか書房、2016年、『社会運動と若者――日常と出来事を往還する政治』、ナカニシヤ出版、2017年、“Protest journey: the practices of constructing activist identity to choose and define the right type of activism”, Interface 12(2), 2021ほか。

関連書籍

『多文化主義のゆくえ』
ウィル・キムリッカ:著
『正義と差異の政治』
アイリス・マリオン・ヤング:著