サピエンティア 60
正義と差異の政治

A5判 / 410ページ / 上製 / 定価:4,000円 + 税 
ISBN978-4-588-60360-0 C3331 [2020年09月 刊行]

内容紹介

自分と異なる他者への嫌悪や抑圧は、差異を取り除き、同一にすればなくなるのだろうか。正義の分配的パラダイムの限界を指摘し、性や人種、年齢や文化などの差異を認知して肯定する都市の公衆と民主主義にこそ、著者は希望を見いだす。差異と正義に関する社会的・規範的な理論としてもはや古典とされる、政治哲学者ヤングの主著ついに翻訳。

著訳者プロフィール

アイリス・マリオン・ヤング(ヤング アイリス マリオン)

(Iris Marion Young)
1949年生まれ。アメリカの政治哲学者。ニューヨーク市立大学クイーンズカレッジで哲学を学び,1974年にペンシルバニア州立大学で哲学博士号を取得。その後,ウースター工科大学,ピッツバーグ大学などで教鞭をとった後,2000年からシカゴ大学政治学部教授を務めた。20世紀後半を代表する政治理論家の一人であり,ロールズ正義論の批判的再検討を通じて政治的少数派の権利擁護に理論的根拠を与える本書の議論は,今日に至るフェミニズム・多文化主義の発展に多大な理論的・実践的影響を与えた。代表的な著作には,本書の他に,Intersecting Voices: Dilemmas of Gender, Political Philosophy and Policy (1997); Inclusion and Democracy (2000); On Female Body Experience (2004)などがあり,日本では『正義への責任』(岡野八代・池田直子訳,岩波書店,2014年)が翻訳されている。2006年死去。

飯田 文雄(イイダ フミオ)

謝辞,序章,第1章,第2章,第4章後半
1961年生まれ。神戸大学大学院法学研究科教授(政治学原論,現代政治理論,西洋政治思想史)。
主な業績:「運命と平等――現代規範的平等論の一断面」日本政治学会編『年報政治学2006-I』2006年, 『現代政治理論:新版』(共著)有斐閣,2012年,“The Tensions between Multiculturalism and Basic Income in Japan," in Yannick Vanderborght and Toru Yamamori (eds.), Basic Income in Japan: Prospects for a Radical Idea in a Transforming Welfare State, Palgrave Macmillan,2014, 『多文化主義の政治学』(編著)法政大学出版局,2020年,ほか。

茢田 真司(カリタ シンジ)

第5章,第6章,第8章
1966年生まれ。國學院大学法学部教授(政治哲学,西洋政治思想史)。
主な業績:「「宗教」・「世俗」・「多元主義」――タラル・アサドと政治理論」『國學院法学』第55巻第4号,2018年,「多文化主義・社会関係資本・コスモポリタニズム――新しい「共存」イメージを求めて」『共存学4 多文化世界の可能性』弘文堂,2017年,「宗教と公共性――「境界」から「空間」へ」『宗教と公共空間』東京大学出版会,2014年,ほか。

田村 哲樹(タムラ テツキ)

第3章,第7章前半
名古屋大学大学院法学研究科教授(政治学,政治理論)。
主な業績:『政治理論とフェミニズムの間――国家・社会・家族』昭和堂,2009年,『熟議民主主義の困難――その乗り越え方の政治理論的考察』ナカニシヤ出版,2017年,“Deliberative Democracy in East Asia: Japan and China,” (with Beibei Tang and Baogang He) in André Bächtiger et al. (eds.), The Oxford Handbook of Deliberative Democracy, Oxford University Press, 2018,『日常生活と政治――国家中心的政治像の再検討』(編著)岩波書店,2019年,『政治学』(共著)勁草書房,2020年,ほか。

河村 真実(カワムラ マミ)

第4章前半,エピローグ
1991年生まれ。神戸大学大学院法学研究科博士課程前期課程修了。修士(政治学)。神戸大学大学院法学研究科博士課程後期課程(政治哲学・政治理論)。
主要な業績:“A New Notion of Culture in Liberal Multiculturalism: Alan Patten and His Critics,” Kobe University Law Review, No. 52, 2019,「『平等な承認』はリベラルな多文化主義を救えるのか――アラン・パッテンの批判的検討を手がかりに」『政治思想研究』第20号,2020年,ジャスティン・ゲスト『新たなマイノリティの誕生――声を奪われた白人労働者たち』(共訳)弘文堂,2019年,ほか。

山田 祥子(ヤマダ ショウコ)

第7章後半
1986年生まれ。名古屋大学大学院法学研究科博士前期課程修了。修士(現代法学)。名古屋大学大学院法学研究科博士後期課程(政治哲学・政治理論)。
主な業績:「グローバルな正義論における『現実』の意味(1)~(3・完)――制度主義を中心に」『名古屋大学法政論集』第264-266号,2015-2016年,「グローバルな正義の主体の語り方」『思想』第1155号,2020年。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

謝辞

序章

第1章 分配的パラダイムを置き換える

第2章 抑圧の五つの側面

第3章 反乱と福祉資本主義社会

第4章 不偏性と公民的公衆の理想

第5章 身体の序列化とアイデンティティの政治

第6章 社会運動と差異の政治

第7章 アファーマティブ・アクションと能力という神話

第8章 都市生活と差異

エピローグ 国際正義

訳者あとがき

参考文献

索引

関連書籍

『土着語の政治』
ウィル・キムリッカ:著
『多文化主義のゆくえ』
ウィル・キムリッカ:著
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クリスチャン・ヨプケ:著
『差異』
ミシェル・ヴィヴィオルカ:著
『正義のフロンティア』
マーサ・C.ヌスバウム:著
『差別はいつ悪質になるのか』
デボラ・ヘルマン:著
『秩序を乱す女たち?』
キャロル・ペイトマン:著