「科学する詩人」ゲーテの生きた時代は、ヨーロッパが最新の三角測量技術を用いて地球の形状を測定し、正確な地図作成をめざした時代だった。当時の数多くの数学者・天文学者・測量技術者たちの発見と苦闘にみちた足跡を、同時代日本の地図作成のパイオニアたちとの学術的交流とともに描く。史料博捜と貴重な新資料&未公開図版でたどる、科学史研究の野心作。カラー口絵8頁。
石原 あえか(イシハラ アエカ)
東京大学大学院総合文化研究科准教授。慶應義塾大学大学院在学中にドイツ・ケルン大学に留学、同大で哲学博士Dr.phil.取得。ゲーテと近代自然科学を研究テーマとする。ドイツ語単著Goethes Buch der Natur(2005)により、ドイツ学術交流会(DAAD)グリム兄弟奨励賞、日本学術振興会賞および日本学士院学術奨励賞。『科学する詩人ゲーテ』(慶應義塾大学出版会、2010)によりサントリー学芸賞。慶應義塾大学商学部教授を経て、2012年より現職。2013年、ドイツ連邦政府よりPhilipp Franz von Siebold-Preis(シーボルト賞)受賞。本書は3点目のドイツ語単著Die Vermessbarkeit der Erde(2011)の日本語増補改訂版である。その他の著作に『ドクトルたちの奮闘記』(慶應義塾大学出版会、2012)などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。はじめに
一 本書のねらい 近代科学史の一研究として
二 調査の対象と研究方法について
三 本書の構成
第一章 地球の形状と三角測量
一 地球の真実の形状をめぐる議論
二 モーペルテュイとラップランド測量遠征
三 ペルー遠征隊のゆくえ その成果と再発見
四 植物学領域での貢献 ジュシューとキナノキ
五 カッシーニ三代とフランス測地図
六 原初メートル ドゥランブルとメシャンのパリ子午線計測
第二章 テューリンゲン測量とミュフリング大尉
一 パリとゴータ間の相互影響関係 ラランド、ツァッハ、ガウス
1 ラランドとツァッハの共同事業
2 ゴータ開催の第一回国際天文会議
3 ガウスと彼の発明した最小二乗法
4 テューリンゲン三角測量へのツァッハの貢献
二 ゲーテの『親和力』とミュフリング大尉
三 ジャン・パウルの小説『カッツェンベルガー博士の湯治旅行』
凛々しき登場人物・トイドバッハ大尉
四 トランショとミュフリングによるライン地方地図測量
五 ミュフリングとプロイセン測量
第三章 学術図版と自然景観図
一 ゲーテとヴァイマル自由絵画学校
二 イェーナ大学専属絵画教師
1 大学専属絵画教師という職業
2 イェーナ大学専属絵画教師 シェンク、エーメ、ルー
3 数学教授ゲルステンベルクとケバ付け技法
三 気圧計を用いた標高測定
1 一八〇〇年前後の「見る欲求」と気圧計による標高測定
2 A・v・フンボルトの『チンボラソ山登頂の試み』
3 W・A・ミルテンベルクの『地球の標高』
4 ヴァイマル大公カール・アウグストとゲーテが気象学に関心を持った理由
5 初代イェーナ大学附属天文台長シュレーンと公国内気象観測網
6 ホッフによる携帯用気圧計を使った地形測量
四 ゲーテ時代の自然景観図
1 ゲーテの自然景観図《新旧大陸の標高比較》とフンボルトの修正
2 ゲーテがルーに依頼した《象徴的雲の形成》原画
3 ゲーテお気に入りの一幅
──医師ヴィルブラントとリトゲンの共作《有機的自然の景観図》
第四章 江戸時代の日欧相互学術交流
一 江戸時代の天文学 ラランドと天文方・高橋至時
二 ナデシュダ号艦長クルーゼンシュテルンとサハリン
あるいはゲーテと日本の間接的結びつき
三 地質学者レオポルド・フォン・ブーフと日本の火山
四 伊能忠敬の『大日本沿海與地全図』とシーボルトの『原図日本国図』
1 密命を帯びたオランダ商館医シーボルト
2 江戸城紅葉山文庫の『伊能図』
──または三人の地理学専門家 最上徳内、間宮林蔵、高橋景保
五 アンナ・アマーリア公妃図書館所蔵の二枚のシーボルト図
ザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ大公国の日本への飽くなき関心
第五章 日本におけるプロイセン式三角測量
一 日本の三角測量の基礎を築いた田坂大尉
1 プロイセンに留学した日本人将校たち 第一次世界大戦まで
2 ドイツにおける田坂虎之助の足跡 公文書調査から判明したこと
3 ヨルダンの教科書翻訳とその改訂
二 日本アルプスの測量調査
1 日本の一等三角点網と測量官・館潔彦
2 日本山岳会創設
3 柴崎測量官と剱岳測量
終わりに
謝辞
注
文献リスト
主要人名索引
一 本書のねらい 近代科学史の一研究として
二 調査の対象と研究方法について
三 本書の構成
第一章 地球の形状と三角測量
一 地球の真実の形状をめぐる議論
二 モーペルテュイとラップランド測量遠征
三 ペルー遠征隊のゆくえ その成果と再発見
四 植物学領域での貢献 ジュシューとキナノキ
五 カッシーニ三代とフランス測地図
六 原初メートル ドゥランブルとメシャンのパリ子午線計測
第二章 テューリンゲン測量とミュフリング大尉
一 パリとゴータ間の相互影響関係 ラランド、ツァッハ、ガウス
1 ラランドとツァッハの共同事業
2 ゴータ開催の第一回国際天文会議
3 ガウスと彼の発明した最小二乗法
4 テューリンゲン三角測量へのツァッハの貢献
二 ゲーテの『親和力』とミュフリング大尉
三 ジャン・パウルの小説『カッツェンベルガー博士の湯治旅行』
凛々しき登場人物・トイドバッハ大尉
四 トランショとミュフリングによるライン地方地図測量
五 ミュフリングとプロイセン測量
第三章 学術図版と自然景観図
一 ゲーテとヴァイマル自由絵画学校
二 イェーナ大学専属絵画教師
1 大学専属絵画教師という職業
2 イェーナ大学専属絵画教師 シェンク、エーメ、ルー
3 数学教授ゲルステンベルクとケバ付け技法
三 気圧計を用いた標高測定
1 一八〇〇年前後の「見る欲求」と気圧計による標高測定
2 A・v・フンボルトの『チンボラソ山登頂の試み』
3 W・A・ミルテンベルクの『地球の標高』
4 ヴァイマル大公カール・アウグストとゲーテが気象学に関心を持った理由
5 初代イェーナ大学附属天文台長シュレーンと公国内気象観測網
6 ホッフによる携帯用気圧計を使った地形測量
四 ゲーテ時代の自然景観図
1 ゲーテの自然景観図《新旧大陸の標高比較》とフンボルトの修正
2 ゲーテがルーに依頼した《象徴的雲の形成》原画
3 ゲーテお気に入りの一幅
──医師ヴィルブラントとリトゲンの共作《有機的自然の景観図》
第四章 江戸時代の日欧相互学術交流
一 江戸時代の天文学 ラランドと天文方・高橋至時
二 ナデシュダ号艦長クルーゼンシュテルンとサハリン
あるいはゲーテと日本の間接的結びつき
三 地質学者レオポルド・フォン・ブーフと日本の火山
四 伊能忠敬の『大日本沿海與地全図』とシーボルトの『原図日本国図』
1 密命を帯びたオランダ商館医シーボルト
2 江戸城紅葉山文庫の『伊能図』
──または三人の地理学専門家 最上徳内、間宮林蔵、高橋景保
五 アンナ・アマーリア公妃図書館所蔵の二枚のシーボルト図
ザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ大公国の日本への飽くなき関心
第五章 日本におけるプロイセン式三角測量
一 日本の三角測量の基礎を築いた田坂大尉
1 プロイセンに留学した日本人将校たち 第一次世界大戦まで
2 ドイツにおける田坂虎之助の足跡 公文書調査から判明したこと
3 ヨルダンの教科書翻訳とその改訂
二 日本アルプスの測量調査
1 日本の一等三角点網と測量官・館潔彦
2 日本山岳会創設
3 柴崎測量官と剱岳測量
終わりに
謝辞
注
文献リスト
主要人名索引
『近代測量史への旅』正誤表PDF-2
本書の刊行後、いくつかの誤表記または事実誤認の箇所を確認いたしました。編集部の不注意によるものであり、ご迷惑をおかけしました関係各位、読者の皆さまに心よりお詫びを申し上げます。(2023年05月現在)
本書の刊行後、いくつかの誤表記または事実誤認の箇所を確認いたしました。編集部の不注意によるものであり、ご迷惑をおかけしました関係各位、読者の皆さまに心よりお詫びを申し上げます。(2023年05月現在)
書評掲載
「出版ニュース」(2015年11月中旬号)に紹介されました。
月刊「測量」(2016年1月号/三浦基弘氏・評)に紹介されました。
「東京大学 教養学部報」(第580号、2016年1月6日/松原宏氏・評)に紹介されました。
「日経サイエンス」(2016年3月号/杉山滋郎氏・評)にて紹介されました。
「測量」(2016年5月号)にて紹介されました。
「地学雑誌」(VOL.125 No.3、2016年6月25日発行/熊木洋太氏・評)にて紹介されました。
「東京大学広報誌 淡青」(2016年9月33号)にて紹介されました。
「地図情報」(VOL.38 No.3、2018年11月発行/政春尋志氏・評)に紹介されました。
「東京大学大学院総合文化研究科 言語情報科学専攻紀要」(第23巻、2016年12月20日/平野篤司氏・評)に紹介されました。