小局からのお知らせ

📢「第11回 法政大学出版局学術図書刊行助成」
選考結果のお知らせ

法政大学出版局では、2014年より「法政大学出版局学術図書刊行助成制度」を設け、全国の各大学在職の研究者および民間研究者を対象に、優れた学術的価値を有する専門的研究成果の募集を行っております。

2024年も、春に第11回目の募集を行い、局内および小局理事会における厳正な審査と、外部の審査員による評価を経て、本年度は下記2点の論文作品を刊行助成対象とすることに決定しました。

(1)
著者:安井絢子氏
論文名:『ケアの倫理入門』

《選考理由》
「本論考はケアの倫理の議論の中核にある議論枠組みや思想体系を、主要な論者たちの文献の詳細な検討に基づいて抽出しており、ケアの倫理をめぐる今後の研究や議論にとって必読といえる。入門書としても、多様な論点をめぐっての網羅性と包括性、考察の詳細さの点で評価できる。ケアの倫理を論じた本は近年増えているが、倫理学の観点を踏まえた本格的な検討はいまだ類書が少ない。今後、ケアの理論研究の基礎文献になることが期待される。」

(2)
著者:長島皓平氏
論文名:『絶対的内在とアナーキー──ジョルジョ・アガンベンの政治哲学』

《選考理由》
「哲学者アガンベンにおける『ホモ・サケル』以降の著述に焦点を合わせ、その政治思想の内実を同定し、絶対的内在のアナキズムとして解釈する試み。対テロ戦争から、2010年代の自爆テロ、さらには新型コロナをめぐる議論やパレスチナ問題に至るまで、アガンベンが介入してきた事象は少なくない。独自の中世神学解釈に遡りつつアガンベンの政治思想を明確に解釈する本論考は、その哲学や美学に関心をもつ人々に現代政治への批判的考察の機会をもたらしてくれる。」

書籍としての刊行は、2025年春〜夏を予定しております。
このほか、少なからぬ力作論考のご応募をいただきましたが、今回はご期待に添うことができませんでした。ご応募いただきましたすべての皆さまに、心より感謝を申し上げます。
なお、次年度以降も引きつづき、本「刊行助成制度」を実施してまいります。2025年3月下旬以降に、当ウェブサイト上にて詳細を告知する予定ですので(締め切りは5月末)、積極的なご応募をお待ちしております。

2024年 10月15日 一般財団法人 法政大学出版局