毎年恒例の〈書物復権〉共同復刊、2025年は第29回を数えます。
復刊の候補にあがったのは106点108冊と、充実したリストをそろえることができました。
参加各社がそれぞれの出版の歴史のなかで、この後も読者に届けたいと考えている各分野の基本書です。
ぜひ、ご覧のうえリクエストいただき、1点でも多くの復刊の実現にご協力ください。
応募期限は2025年2月28日まで、ぜひ皆さまから多数のリクエストをいただけますようお願いします。
また今回も、通常では復刊しにくい少数のご要望にお応えるべく、オンデマンド版での復刊も実施いたします。
復刊リクエストは下記のサイトからおこなえます。
紀伊國屋書店のリクエストサイトはこちら
書物復権 2025年 9社共同復刊29 リクエストで名著がよみがえる!
小局の復刊候補は下記の書籍です。
『ベンヤミン – ショーレム往復書簡』
G.ショーレム/山本尤訳
初版年1990年・最終版年1990年/四六/440頁/予価4400円(本体4000円)
現代批評の俊英ベンヤミンとユダヤ神秘思想研究の碩学ショーレムが、悪化する状況、人々の消息、互いの仕事とその周辺を克明に綴った1930年代の精神史的証言。
『健康の神秘』
H.-G.ガダマー/三浦國泰訳
初版年2006年・最終版年2006年/四六/232頁/予価3300円(本体3000円)
近代科学主義によって健康を対象化する現代医学を批判しつつ、解釈学的存在論の立場から「存在」としての健康の神秘を考察する、ガダマー最晩年の不屈の批判精神。
『非人間的なもの』
ジャン=フランソワ・リオタール/篠原資明、上村博、平芳幸浩訳
初版年2010年・最終版年2010年/四六/286頁/予価3850円(本体3500円)
「非人間的なもの」とは人間主義が張り巡らした陰謀の網を破り擦り抜ける営みとする観点から、人間の意識と時間を論じ、絵画や音楽を語るリオタール晩年の講演集。
『人間の尊厳と人格の自律』
ミヒャエル・クヴァンテ/加藤泰史監訳
初版年2015年・最終版年2015年/四六/350頁/予価4180円(本体3800円)
人間の生命に関わるバイオテクノロジーは、民主主義的価値に対していかなる倫理的な問題提起をするのか。現在、ドイツで応用倫理学研究をリードする著者の主著。
『考える/分類する』
ジョルジュ・ペレック/阪上脩訳
初版年2000年・最終版年2012年/四六/150頁/予価2530円(本体2300円)
日常卑近な〈もの〉の目録を列挙しつつ、収集—分類—整理という人間の社会 – 心理的素描を試みる考現学的考察を通じて、現代社会と人間の恐るべき変貌を描き出す。
『ファシズム時代のシオニズム』
L.ブレンナー/芝健介訳
初版年2001年・最終版年2001年/四六/476頁/予価5720円(本体5200円)
シオニズム運動を世界史的な視野で考察しつつ、シオニストとナチとの知られざる関係を剔抉し、全体主義に覆われた20世紀の暗部を鋭く照射する反シオニズム論。
『闇をひらく光』
W.シヴェルブシュ/小川さくえ訳
初版年2011年・最終版年2011年/A5/266頁/予価3300円(本体3000円)
産業革命を頂点に、バロックから近代にいたる照明の文化史。時代の哲学と社会と技術を結び、バシュラールの〈管理された光〉の社会的側面をダイナミックに論じる。
『メフメト二世』
A.クロー/岩永博、井上裕子、佐藤夏生、新川雅子訳
初版年1998年・最終版年1998年/四六/458頁/予価4620円(本体4200円)
コンスタンティノープルの征服によりローマ帝国に永遠の終焉をもたらし、オスマン帝国の基礎を築いた征服王メフメト二世の生涯、政治的理念と強烈な個性を描く。
『訳された近代』
長沼美香子
初版年2017年・最終版年2017年/A5/438頁/予価6600円(本体6000円)
明治初期に文部省主導で進められ、最先端の西洋文明を紹介した全97編の『百科全書』翻訳・出版事業は、近代日本の学知に何をもたらしたのか。初の翻訳学的研究。