小局からのお知らせ

「第2回 法政大学出版局学術図書刊行助成」
選考結果のお知らせ

法政大学出版局では、2014年より「法政大学出版局学術図書刊行助成制度」を新たに設け、全国の各大学在職の研究者および民間研究者を対象に、優れた学術的価値を有する専門的研究成果の募集を行っております。

2015年も、第2回の募集を行い、去る5月の締め切り後、局内および小局理事会における厳正な審査と、外部の審査員による評価を経て、本年度は下記の2点の論文作品を刊行助成対象とすることに決定いたしました。

(1)
著者:山本健三(島根県立大学北東アジア地域研究センター嘱託助手)
論文:『帝国・〈陰謀〉・ナショナリズム──1860年代後半のロシア帝国におけるバルト・ドイツ人をめぐる論戦に関する研究』

《選考理由》
「ロシア帝国内のドイツ人問題を19世紀中葉の思想史の観点からみた力作。具体的には、「オストゼイ」と当時呼ばれたバルト・ドイツ人の統合を、ロシア・スラブ派の論客サマーリンが批判した論説の出版をめぐる論争史を通じて、ロシア帝国の国民統合を考察した研究。ロシア帝国と《国家内国家》といわれるドイツ民族との関係を思想史や論争史の角度から議論したものとして、出版に値する。」

(2)
著者:川端美季(日本学術振興会特別研究員、立命館大学)
論文:『近代日本の公衆浴場運動』

《選考理由》
「「公設浴場」という、これまで学問的にはほとんど論じられてこなかった存在を、欧米の「公衆浴場運動」に関連づけて論じている点、行政資料や衛生学関連資料を豊富に分析している点、東京の事例だけでなく大阪・京都の事例を取り上げ、それらのあいだの偏差を浮き彫りにしている点にオリジナリティがある。近代社会史の隙間を埋める研究。」

書籍としての刊行は、2016年夏を予定しております。

このほか、多数の力作論文のご応募をいただきましたが、残念ながら今回はご期待に添うことができませんでした。ご応募いただきましたすべての皆さまに、心より感謝を申し上げます。

なお、次年度以降も引きつづき、本「刊行助成制度」を実施してまいります。2016年3月下旬以降に、当ウェブサイト上にて詳細を告知する予定ですので(締め切りは5月末)、積極的なご応募をお待ちしております。

2015年11月30日 一般財団法人 法政大学出版局