小局からのお知らせ

【8月6日は広島「原爆の日」原爆投下から78年 】過去を忘れないための8冊

ヒロシマ〈新装版〉

J.ハーシー:著, 石川 欣一:訳, 谷本 清:訳, 明田川 融:訳『ヒロシマ〈新装版〉
2014年05月 刊行

「20世紀アメリカ・ジャーナリズムの業績トップ100」の第1位に選ばれた、ピューリッツァ賞作家ハーシーによる史上初の原爆被害記録。1946年の取材による1~4章は、6人の被爆者の体験と見聞をリアルに描いて世界に原爆の惨禍を知らしめ、原水爆禁止・核廃絶の運動に影響を及ぼした。85年の再訪で成った5章「ヒロシマ その後」では、原爆症との闘い、市民としての生活・仕事・活動など、稀有な体験者たちの戦後史をヒューマンな筆致で跡づける。

ヒロシマ日記〈改装版〉

蜂谷 道彦:著『ヒロシマ日記〈改装版〉
2015年04月 刊行

日常化された死、情報の隔絶による果てしなき恐怖、玉音放送の衝撃、廃墟の中の笑いと希望──一瞬の閃光の下に出現された地獄絵図の只中で九死に一生を得、広島逓信病院長として自ら被爆者の治療に当たった著者が、ヒロシマの五十六日間の異常な体験のすべてを克明に記録し、極限に生きた人々の献身と勇気を渾身の力をこめた書き綴った稀有のドキュメント。

積乱雲の彼方に〈新装版〉

江藤 千秋:著『積乱雲の彼方に〈新装版〉
2010年07月 刊行

「征く者は立て」──戦雲急をつげる昭和18年7月、県内屈指の進学校・愛知一中で生徒達が予科練志願に総決起した。実際に56名が入隊し、5人が戦没、征かなかった者も心に傷を負う。本書は、この渦中にあった著者が事件の意味を問い、学友を鎮魂するため、幾多の証言と遺された日記をもとに、“中学生学徒動員”の軌跡を追った貴重な記録である。

朝鮮人特攻隊員の表象

権学俊:著『朝鮮人特攻隊員の表象
2022年10月 刊行

植民地支配や戦争をめぐり、戦後80年近い今なお日韓で記憶のずれと対立が続いている。日本軍に所属した36万人以上の朝鮮人の詳細は、いまだ不明なことも多い。本書は、特攻死した陸軍朝鮮人特攻隊員が新聞や雑誌、映画、ポスター、慰霊碑などでどう扱われてきたのかを分析し、「軍神」「被害者」「裏切り者」といった多様なイメージを押しつけてきた両国の近現代を歴史社会学の視座から考察する。

医療と戦時下の暮らし

新村 拓:著『医療と戦時下の暮らし
2022年07月 刊行

軍需優先の戦時体制のもとで生じた医療者や医薬品の不足は、いかに銃後の傷病人を苦しめ、多くの命を奪うことになったのか。そして、戦時下に形成された医療体制は戦後どのような展開を遂げ、コロナ禍の現代とつながっているのか。戦時という不確かな時空を生きた人びとの膨大な証言・体験・記憶に基づき、非常時の暮らしを精緻に描き出す。日本医療社会史の第一人者による集大成の書。

戦時期の労働と生活

法政大学大原社会問題研究所:編著, 榎 一江:編著『戦時期の労働と生活
2018年03月 刊行

戦時統制下の日本において戦争遂行のために推進された政策や運動はいかなる論理をもって展開され、人々の日々の営みと労働のありかたをいかに変えたのか。産業報国会に関する貴重な資料の調査プロジェクトを軸として、経済史・労働史・政治史・法制史・女性史・思想史の専門家らが、多様な文脈をふまえて総力戦体制を論じ、社会の構造的変化を明らかにする。

市川房枝と「大東亜戦争」

進藤 久美子:著『市川房枝と「大東亜戦争」
2014年02月 刊行

戦前から婦選運動を牽引し、日本におけるジェンダー・ポリティックスの政治理念と政治様式の生みの親でもある市川房枝。その市川は、どのような軌跡を描いて非戦論の立場から戦争容認・協力へと転向していったのか。本書は、多くの未公開資料などを利用しつつ、「告発史観」の視座からではなく、同時代の社会状況のもとに市川の言説と活動を跡づけ、その戦時期活動の意味を再検証する。

戦争と和解の日英関係史

小菅 信子:編著, ヒューゴ・ドブソン:編著『戦争と和解の日英関係史
2011年07月 刊行

第二次世界大戦期、アジアを舞台に戦火を交えた日本と英国。とりわけ、泰緬(たいめん)鉄道建設時の日本軍による英軍捕虜虐待をめぐっては、いまなお両国のあいだで燻り続けている大きな問題である。本書は、大戦期から今日にいたる日英和解のプロセスを国際的・国内的なさまざまなレヴェルで問い直し、「敵」から「友」への関係性の構築に向けて日英独の研究者が共同で探求する。